11BATJ大会発表大会 暫定プログラム 

9月5日(金)

時間

 

講演・発表者

場所

12.30 – 1.30           受付 Parkinson Building Centenary Gallery 1 (PBCG 1)
1.30 – 1.50  開会式/案内   PBCG 1
1.50 – 3.00            講演 Professor Mark Williams (University of Leeds)

“Accuracy - or faithfulness?

Issues in translating the literature of Endo Shusaku” (Tentative)

PBCG 1
3.00 – 3.30              休憩  

Parkinson Building Centenary Gallery 2 (PBCG 2)

3.30 – 5.00              基調講演  横溝紳一郎 教授 (佐賀大学)

教師はどうやって学習者のやる気を引き出せるのだろうか

 

PBCG 1
5.00 – 5.10   案内  

PBCG 1

5.10 – 6.15    宿舎チェックイン Devonshire Hall
6.15 – 7.00   レセプション    Parkinson Court North/ University House
7.30 – 9.30  夕食会(希望者のみ)

Red Chilli (Chinese Restaurant)

 

9月6日(土)
時間  

講演・発表者

場所

9.00 – 10.15        BATJ年次総会 PBCG 1
10.15 – 10.30  休憩   PBCG 2
10.30 – 11.00           発表1  Do Hoang Ngan (広島大学)

「日本語の聴解の難しさに関する研究 

   −ベトナム人現役大学生と卒業生の比較-」

PBCG 1
11.05 – 11.35              発表2

ミドルトン晶子(国際交流基金ロンドン日本語センター)

 「短編小説を読んで語ろう 英国のある成人講座での試み」

 

PBCG 1

11.40 – 12.10              発表3  リグス秀美 (Soka University of America)

 「現代日本語話者のクエル・モラウの使い分け」

PBCG 1
12.10 – 1.10    昼食  

PBCG 2

1.10 – 1.40    講演  Dr. Thomas McAuley (University of Sheffield, White Rose East Asia Centre)

Dr Luli van der Does-Ishikawa (University of Sheffield, White Rose East Asia Centre)

 “Advanced Japanese Language for Research: Combining E-Learning and

 Face-to-face Approaches”

 

PBCG 1
1.45 – 2.15       発表4  

原田三千代 (お茶の水女子大学)

「協働作文活動としてのピア・レスポンスに対する学習者の意識変容過程 −M-GTA分析より−」

 

PBCG 1
2.20 – 2.50 発表5 宮副ウォン裕子(桜美林大学)

守谷智美 (お茶の水女子大学)

石塚三枝 (桜美林大学)

「学習者の多様性とアウトプット型学習活動を生かした

 「現代大大衆文化」の授業実践における教師の役割」

 

PBCG 1
2.50 – 3.10     休憩   PBCG 2
3.10 – 4.10    ワークショップ  横溝紳一郎 教授 (佐賀大学) PBCG 1

4.10 – 4.30

閉会式   

PBCG 1

 

 

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教師はどうやって学習者のやる気を引き出せるのだろう?

 

横溝紳一郎

佐賀大学

 

日本語学習者の「やる気」の保持と継続が、日本語能力の伸びに大きく影響を与えることは、多くの日本語教師にとっての共通認識であろう。であるとすれば、学習者の「やる気」の保持と継続をめざし努力し続けることが、日本語教師にとって果たすべき大きな役割ということになる。本基調講演では、学習者のやる気を引き出すために教師ができることを、様々な観点から検討していく。講演で取り上げる教師の言動は、以下の通りである。

 

1)ティーチャートーク

2)フィードバック(否定的・肯定的)

3)視線

4)指名

5)表情・ジェスチャー

 

 翌日のワークショップでは、参加者それぞれが自らの言動をふり返っていく。自らの言動を認識し自己理解を深めることは、教師としての自己成長の大きな第一歩である。

 

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日本語の聴解の難しさに関する研究

ベトナム人現役大学生と卒業生の比較

 

Do Hoang Ngan

広島大学

 

国際交流基金の2007年日本語能力試験の結果分析によると、どのレベルの学習者においても、「文字・語彙」「聴解」「読解・文法」のテストの中で、海外に在住している受験者の聴解の平均点が最も低いことが明らかになっている。そこで、本研究では、日本語学習者数が29,982(世界の上位国)存在し、高等教育機関における日本語教育が盛んなベトナムの大学生63名と日本語を専門としている卒業生59名を対象者とし,日本語を聞く際,難しいと感じる項目を調べることを目的とした。

先行研究から抽出した聴解に影響を及ぼす要因を基に,16項目からなる5件法の評価の質問紙調査を行った。データをExcelで処理し,大学生が難しいと感じる項目と卒業生のものを比較し,グループ間の平均値の有意差をt検定によって検討した。

データを統計分析した結果,現役大学生にとって難しい項目が卒業生にとっても同程度難しい項目になるわけではないことが明らかになった。平均値の高い項目を見ると、現役大学生も卒業生も「似ている単音の識別」、「全ての単音の知覚」、「同音異義語の区別」、「話すスピード」という項目には一番困難を感じていることが明らかになった。また、現役大学生にとって上位の項目であるが、卒業生にとって上位の項目ではないものは「似ている単語の区別」と「展開の予測」という項目であった。一方、卒業生にとって上位の項目であるが、現役大学生にとって上位の項目ではないものは「話しの流れの中で単語の識別」と「詳細な内容の把握」という項目であった。しかし、t検定の結果、現役大学生と卒業生の間に有意差がある項目の中で、「全ての単音の知覚」「話しの流れの中で単語の識別」と「詳細な内容の把握」では現役大学生<卒業生という結果となり、「イントネーションの把握」では現役大学生>卒業生という結果となった。

本稿では,この結果を踏まえ,日本語の聴解教育への示唆を述べていく。

  

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短編小説を読んで語ろう――英国のある成人講座での試み

 

ミドルトン晶子

国際交流基金ロンドン日本語センター  

 

 

 本発表は、英国在住の日本語上級(日本語能力試験2級以上)の成人講座で、短編小説を題材に、文学作品の内容理解のみに留まらず、学習者の日本語での自己表現力をひき出すことを試みた実践報告である。

 

 これは、国際交流基金ロンドン日本語センターの成人への日本語学習奨励事業である「日本語で学ぶ日本文化講座」という日本語上級講座の一環として実施された。日本語を話す親日家が日本文化について学びながら語学力向上も目指すのが目的で、4回完結、年間3シリーズ、異なる分野の講座が開設されている。

 

 短編小説を読んで語り合う講座の実施は2007年秋、毎週1回夜間に2時間、4回完結のコースで、18名が受講した。 講座の実施にあたって留意した点は、以下の4点である。

 

1 学習者が読みたいと思うような著者、内容の短編を選ぶこと

2 内容理解のための語彙、漢字、表現の言語学習的予習教材を提供すること

3 初対面の成人18名が教室で安心して発言できる雰囲気を作ること

4 自己表現したくなるようなアクティビティーを設定すること

 

 作品は英国で人気の村上春樹、吉本ばなな、江國香織の短編小説を選び、予習教材は、テキストと自作音声ファイル、漢字、語彙の自習教材を配布。

 

 教室活動では、発声練習、語彙表現の確認、音読、演技、各自の解釈の話し合い、小説から見られる現代の日本事情学習などを、ペアワーク、グループワークを混ぜて実施した。

 

 各回のテキストと活動についてのアンケートによると、テキストとして高い評価の短編が、読解そのものに時間をとりすぎた場合は満足度が落ちるという結果が出た。講座として評価が高かったのは、さまざまなアクティビティーで、声を出したり、表現したり、意見交換のできたものだった。

 

 短編小説は自己表現のために有効な題材となりうる。さらなる可能性を模索するべく、短編小説シリーズを今後も実施予定である。

 

 

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現代日本語話者のクレル・モラウの使い分け

 リグス秀美

      Soka University of America       

 

 

 本稿はクレル/モラウの使い分けが「授者と受物」のどちらの情報に聞き手の注意を引くかという話者の談話構成上の意図に基づくとする文法モデルを提唱している。 従来、受益動詞の説明は人称と格、益移動の方向、話者の視点の在処、態、恩恵モダリティー等に拠っているが、どの仮説も学習者にとって有効な説明とは成り得ていない。 英語圏の学習者に見られる傾向、 例えば、 getと同じ様に使えるモラウ偏重、giveをアゲルに置き換える誤用(父が僕にアゲタ)はL1トランスファーが行なわれている事を示唆している。クレルは話し手の視点が主語よりも受者寄りの時に限って使えるとする説(久野1994) 授行為とする説(橋本2001)間に見られる解釈の不一致が それを物語っている。事実、どの説も益移動が他人A→他人Bの時「 A Bにクレタ」と言えない文法制約を筋道立てて説明出来ない。 又、 モラウ受動/依頼使役態説(仁田1981)や恩恵説(益岡2001)も、本研究で多数の例外が見つかり、態や恩恵説の論理的根拠が不十分である事を立証している。

本稿では動詞と補助動詞は同形と考え、主に随筆30册、日英対訳本4册、テレビ放送から約5000件採集した。語が現れる文とその隣接文に授者明示の有無、授者(不)特定性、依頼語や感謝語との共起、修飾節に現れる時は その被修飾語が者か物か、を中心に調査した結果、クレルの顕著な授者密着性、モラウの希薄性という二語の特徴が明らかになった。これにより二語は授者焦点度の高低という対立関係で成立し、話者は授者明示の必要度に従い文脈に最適な語を選択しているという結論を得た。つまり、「者」と「物」のどちらの情報に焦点を絞るかという二項対立モデルは学習者にも理解され易く、更に、 授者が目上の場合にモラウを使うと失礼になるという語用的制約も、授者よりも益その物に重きを置いた結果無礼になると説明出来る。

  

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Advanced Japanese Language for Research: Combining E-Learning and Face-to-face Approaches

 

Thomas McAuley

University of Sheffield

White Rose East Asia Centre

 

  This presentation will introduce the e-learning materials designed for use on the new Masters in Advanced Japanese Studies (Research Methods), a collaborative programme with the University of Leeds under the joint White Rose East Asia Centre (www.wreac.org). The materials were designed using the experience developed at the School of East Asian Studies (SEAS), University of Sheffield over more than ten years of delivering taught Master’s programmes in Japanese language and studies via Distance Learning to students throughout the world, and take advantage of the new possibilities offered by software packages, such as the Wimba Collaboration Suite, for synchronous, and asynchronous, teacher-student interaction, by text, audio and video, with the overall aims of improving students’ experience, maintaining motivation and teaching advanced Japanese language skills more efficiently. In conjunction with intensive face-to-face teaching they are intended to teach the specific language and research skills needed by advanced students to pursue research in, and on, Japan.

 

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協働作文活動としてのピア・レスポンスに対する学習者の意識変容過程

―M-GTA分析より

 原田三千代

お茶の水女子大学  

  

1. 研究背景

 

近年日本語教育において、教える側からの固定的な教育観に基づく指導法や学習の成果物重視の考え方から、学び手の学習プロセスを重視した考え方へと教育パラダイムの転換が試みられている。こうした考え方は日本語作文教育にも援用され、その実践活動としてピア・レスポンス(PR)が注目を集めている。PRとは学習者同士のグループで、互いの作文について書き手と読み手の立場を交換しながら作文を検討し合う学習活動のことである。

原田(2008)ではPRの活動プロセスに着目して活動の協働性を示し、教室活動としてのPRの可能性を考察した。本研究ではそのような教室活動を、学習者自身がどのように捉えていたか、どのような改善の可能性を考えていたかをインタビュー資料から分析する。それによってPR対する学習者の意識変容過程を探り、今後の教室活動のデザインに向けての示唆を得ることを目的とする。

 

2. 研究方法

2.1 対象者と教室活動

対象者は日本語クラス(2005年〜2007年の4学期)の学部留学生21(9カ国、3級〜超級、2130歳女性)である。

教室活動では表現の運用や文章構成の練習後、作文課題を与えた。作文完成までの手続きは課題全体・グループでの話し合い草稿→PR→推敲作文となる。

 

2.2 データの収集と分析

データは各学期の終わりに行ったインタビュー(一人30)を文字化したもので、学習者の意識変容過程を探るためにM-GTAによって分析した。

 

3. 研究結果

学習者は、当初テキストに焦点化して文法訂正や教師添削を重要視し、他者からの批判に対する抵抗感を持っていた。活動の習熟によって他者との協働関係の構築や自律性を養成する中で、コミュニケーション活動の意義、思考の広がりや深化を見出していた。これらの意識変容は自分自身の学習の成果として教室の外への働きかけとなっていた。

 

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学習者の多様性とアウトプット型学習活動を生かした

「現代大衆文化」の授業実践における教師の役割

 桜美林大学 宮副ウォン裕子

お茶の水女子大学  守谷智美

桜美林大学 石塚美枝

 

 

近年、日本の現代大衆文化への関心が高まる中、これを日本語学習動機とする学習者も急増している。このような学習者ニーズに応えるべく、本学では2005年度より「現代大衆文化」を日本語選択科目の1つとして中級・上級の2レベルで開講している。本科目は学習者の多言語・多文化背景とアウトプット型の学習活動中心という大きな特徴を持つが、そこでは教師は「ファシリテーター」としての役割を担うと考える(石塚・宮副・守谷2008)。クラントン(2006)は「ファシリテーター」の役割を「学習者が表明するニーズに応えて学習者の成長と変化を励まし支えること」であるとし、「学習者がやりたいことの手助けをする」と述べている。本科目でも「教えるのではなく、学習者の学びを促すような仕掛けを設計・モニターする役割」であると緩やかに捉えているが、これは日々の学習活動において具体的にいかなる教師行動と結びついているのであろうか。

本発表では本学における「現代大衆文化」科目の中級・上級の活動事例とともに活動に際しての教師の役割について報告し、これを通して現代大衆文化を題材とした日本語学習活動の設計と課題を検討することを目的とする。各回の授業記録の分析の結果から、学習開始・学習過程段階において、教師は学習活動の説明や情報提供、学習者情報の収集、参加者間のラポール形成の促進、学習内容の理解促進のための情報提供や補足を行ったり、また学習後半の実践段階においては学習の場の一参加者・協働作業者としての役割を果たしたりしていることが明らかとなった。これらの役割は多言語・多文化背景とアウトプット型の学習活動中心である本科目に特徴的なものであり、活動を通して学習者が学びを深めていくために不可欠なものである。今後は、学習者自身が本科目の教師の役割に何を期待し、またいかなる役割を求めているのかについてもインタビュー等により明らかにしていきたいと考える。

 

<引用文献>

石塚美枝・宮副ウォン裕子・守谷智美(2008)「メディア・リテラシーを育てる『現代大衆文化』参加者の多様性・多文化理解を促す日本語授業実践」『桜美林言語教育論叢』第4号、pp15-24.

パトリシア・クラントン(2006)『おとなの学びを拓く自己決定と意識変容を目指して』入江直子・豊田千代子・三輪建二(訳)鳳書房.(原書 Clanton,P (1992) Working with adult learners. Wall & Emarson Inc. Tront.)

 

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